動産担保の個人向け小口・短期金融
ブランド品などを持っている場合には、それを質に入れてお金を借りる場合もあるでしょう。
質屋は歴史的に興味深いトピックもあるので、ここにまとめました。
質屋とは?
質屋は動産を担保にした個人向けの小口・短期金融です。
物を預けてお金を借り、期限までに返済できれば、その物を返してもらえます。
担保として預ける物は質草と言います。
返済ができなかった場合、担保にした物の所有権は借り手から質屋に移り、質屋はそれを売却・換金します。
これを「流れる」といい、質屋ルートで流通する中古品を「質流れ」などといいます。
最短流質期限は3カ月で、利子を払えば延長できます。
法定上限金利は日0.3%、年109.5%で、消費者金融よりはるかに高く、予定の期日に返済する短期利用に限るべきです。
返済できなかった場合は担保物を失うだけなので、消費者金融や闇金と違って、質屋から借りたことで借金地獄に堕ちるということはありません。
借金に苦しんでいる人は質屋を利用する場合があるというだけのことです。
質屋は、日本では鎌倉時代からあると言われ、1960年代まで庶民金融の主力でした。
現代の日本にも多数存在しており、いわゆるブランド品、貴金属、宝飾品、ゴルフ会員権、有価証券、金などを扱っています。
質屋は金融サービスを提供するとともに、中古品の流通市場を形成しており、質屋組合が主催する質流れ品の販売イベントには、多くの客が殺到します。
質屋の基本業務は質預かりによる金銭貸付ですが、その場で買い取る場合もあり、また店頭で質流れ品を販売していることもあります。
戦後の質屋が果たした役割
太平洋戦争の終戦後は物資が極端に不足していました。
つまり、特に高級品でなくても「物」一般の価値が高かった。
だから普通の家庭にある物を質に入れてお金を借りることができました。
混乱した時代だったので、普通の人がお金を借りられる金融サービスはほかにはありませんでした。
こうして質屋はその歴史の中でも、戦後はとりわけ個人向けの金融で大きな役割を果たしたのです。
しかし、朝鮮戦争の後に日本経済は急速に復興し、やがて高度成長期に突入していきます。
大量生産・大量消費の時代になり、「物」の価値が低落していきます。
普通の家庭にあるものでは、質屋でお金を借りられなくなりました。
質屋は大方の人には縁遠いものになっていき、質屋業界も縮小していきました。
アコム
現在の消費者金融大手の一つ、アコムは今述べた戦後の質屋がルーツです。
質屋は戦後、儲かる商売になりました。
1936年に繊維製品卸小売業として創業した「丸糸呉服店」は、終戦後はこの商売に目をつけ、1948年に質業を開始します。
しかし、質屋の衰退を見越すと時代の流れを目ざとく捉えて、1960年に勤人信用貸(今日の消費者金融)に参入。
1978年アコムを設立して破竹の勢いで成長し、今日まで続いています。