今はない日銭商売相手の高利貸し
かつて存在した日賦貸金業者についてまとめました。
日賦貸金業者とは?
小売業・飲食業などの「日銭商売」をやっている従業員5人以下の個人業者・零細業者を相手にした金融業者です。
貸付金額は数十万円〜100万円程度で100日以上の分割払い。
返済は1日単位で金利を算出して土日祝を除く毎日訪問集金していました。
仮に30万円借りて100日で返済すると、毎日3000円+金利を集金してもらうイメージです。
日掛け金融という呼称の方がポピュラーかもしれません。
1991年から2000年まで、この形態の金融業者に特例で上限金利54.75%が認められ、その環境下で存在していました。
全国に2000の業者があると言われ、その4割が九州に分布し、関西を中心に栄えていました。
97年ごろに九州で自己破産が増えて社会問題化したようです。
特例はすでに廃止され、どんな業者であれ、年利20%以上は出資法違反で刑事罰の対象になります。
こうした環境の変化で日賦貸金業者は消滅しました。
日賦貸金業者の実態を伝えるマンガ
既に存在しない金融業態の実態を伝える貴重なマンガがあります。
「日掛け金融地獄伝 こまねずみ常次郎」です。
- 原案: 青木雄二
- 原作: 秋月戸市
- 作画: 吉本浩二
- 出版社: 小学館
- 掲載誌: ビッグコミックスペリオール
- 既刊巻数: 9巻
日掛け金融業者「新撰リース」の社員・服部常次郎の人間としての成長の物語です。
もともと博多でバーを経営していた若者・常次郎が日掛け金融業者に騙されて借金地獄に堕ちます。
それを跳ね返すために彼は自ら日掛け金融業者になる道を選び、数々の修羅場をくぐってしたたかだが人情のある金融マンに成長していきます。
今からでは調べようのないようなビジネスのディテールが描かれており、大変興味深い作品です。
単純にエンタテインメントとしても優れており、さすが「ナニワ金融道」の青木雄二が原案を書いているだけのことはあります。
日賦貸金業者を装った闇金
日掛け金融が存在した時期には、この業態を装った闇金が横行していたようです。
その手口は特例に該当する事業主に貸したことにして、実際は様々な人に貸し、出資法上限超過の金利を貪るというものでした。