奨学金は借金と何も変わらない
人が借金地獄に堕ちる原因を一つずつ見ていきます。
今回は奨学金です。
日本では奨学金はほとんどの場合、返済義務がある借金の一種です。
社会に出た後、長年の返済に苦しみ、奨学金破産する人も出ています。
奨学金とは?
学生が進学するために給付、または貸与されるお金です。
英語で奨学金は「Scholarship(スカラーシップ)」ですが、これは成績優秀な学生に給付される返済不要の資金を意味します。
返済が必要なものは英語では「Student loan(スチューデントローン ※)」です。
※これを「学生ローン」と訳すのは適切ではありません。日本で「学生ローン」というと昔からある学生相手の小額の消費者金融を意味するからです。
日本の奨学金はほとんどが返済を要し、実質は借金と何も変わらないのです。
奨学金を利用する学生の卒業時の借入高平均は288万円。
300万円弱の借金を背負って社会に船出し、それを何十年もかけて返済するのです。
年功序列と終身雇用が完全に崩れた昨今、返済苦にあえぐ人が続出し、自己破産に追い込まれる人さえ出ています。
奨学金の返済があるために結婚できない人、逆に結婚して支出が増えたために奨学金返済が難しくなる人も多いようです。
奨学金の種類
日本学生支援機構(JASSO)
日本育英会(1943年に大日本育英会として発足、1953年改名)の事業を引き継いだ、日本の代表的な奨学金運営組織です。
現在、奨学金(給付型)、第一種奨学金(無利息)、第二種奨学金(利息あり)の3種の奨学金を提供しています。
第二種の利息は3%で、利率固定方式と利率見直し方式を選択でき、在学中は無利息です。
貸与型では連帯保証人および保証人の人的保証を付けることが求められます。
昔は教職に5年在職すると返済が免除される「教職返還免除制度」がありましたが、橋本内閣の行政改革で廃止されました。
申請による返済猶予等の制度がある一方、3カ月以上の滞納者は全国個人信用情報センターに事故情報が登録されます。
これはいわゆる「ブラックリスト」で、完済後5年まで情報が保存され、ローンを組んだり、クレジットカードを持つことが難しくなります。
その他
ほかにもマイナーな奨学金が何種類かあります。
- 自衛隊貸費学生。(自衛隊任官を前提に貸与)
- 地方自治体によるもの。
- 企業によるもの。
- ライオンズクラブ、ロータリークラブといった地域の名士で構成された社会奉仕団体によるもの。
あしなが育英会は親が死亡したり、著しい障害を負っている家庭の子供を支援する団体ですが、ここも奨学金制度があり、支給額の一部が貸与、一部が給付という形です。
奨学金の問題点
給付型を増やすべきとの議論もあり、それもやればいいとは思いますが、財源の関係から対象にできる人数に限界があると思います。
貸与してもらえる選択肢があること自体はよいことだと思います。
しかし、奨学金が借金だと明確に認識していなくて、卒業して返済するようになってから実感する人が多いと聞きます。
奨学金を借りる時に、これは長期の返済負担を伴う借金だということを十分に説明できていないのではないでしょうか?
メリットとデメリットを十分理解してもらった上で選択できるような運営にすべきです。
奨学金の債務整理
奨学金も債務整理は可能ですが、減額分は連帯保証人や保証人に請求が行きます。
下手をすれば親兄弟・親戚に債務整理の連鎖が起きます。
自分一人で済む問題ではないので、債務整理を検討しているなら、必ず事前に連帯保証人・保証人に相談することです。
迷惑をかけない方法として、任意整理を選択し、奨学金を対象から外すことが考えられます。
任意整理はこういう自由度が大きいのが魅力です。
ただ、債務が非常に大きい場合は任意整理は無理で、個人再生か自己破産しかなくなります。
この2方法は債権者平等の原則が厳密に求められるので、奨学金だけをはずすわけにはいきません。
自分が自己破産しても連帯保証人・保証人に請求が行くぐらいなら、その事を説明した上で連帯保証人・保証人に直接の支援を求めて債務整理を避ける方が賢明かもしれません。