満たされない心が原因のことも
人が借金地獄に堕ちる原因を一つずつ見ていきます。
収入レベルを超えた買い物癖は借金地獄にまっしぐらです。
「自分へのご褒美」「ストレス解消」「自己投資」…いろいろ理由をつけては買物をしてしまう人は気を付けてください。
物欲はコントロールが大切ですが、中には物欲がないのに買物癖が止まらず、借金地獄に堕ちていく人もいます。
このページでは買い物依存症についてまとめました。
購入物が目的の買い物
収入を超えた買い物を続けてしまう原因としては、もちろん物欲の場合もあります。
エルメス、シャネル、ローレックスといった高級ブランド品を買いあさり、実際に着用すると快感があって、もっと欲しくなる。
マイセン、ロイヤルコペンハーゲン、ウェッジウッドなどの高級食器を手に入れるともっと欲しくなる。
正確には物自体がほしいというより、物に付随する何かが欲しい場合も多いです。
例えば幼少の頃、貧しかったために上流の暮らしに強烈な憧れがあるとか、周囲の人の賞賛と羨望が快楽になっている場合。
しかし、手に入れた物が好きで楽しめるなら、それは物欲と呼べるでしょう。
あるいは、単に高級品の良さに目覚めて次々に購入してしまう場合もあり、その場合は男性に多いコレクションへの耽溺に通じるものがあります。
いずれにせよ、購入物が目的の買い物では、購入内容に一貫性があり、入手したものを楽しんでいます。
購入行為自体が目的の買物
しかし、原因は物欲ではなく、買う事自体が目的になっていて止められない買物依存症もとても多いのです。
- 通販番組を見ていると気持ちが抑えられなくて買ってしまうが、届いた商品は使っていない。
- ウィンドーショッピングのつもりが、必ず何か買ってしまうが、手に入れると興味がなくなる。
- 販売員の接客が気持ちよくて、勧められるままに大してほしくもないものを買ってしまう。
こういうのは心のどこかに満たされないものがあり、その代償行為として物の購入をしているのです。
大切にされたいとか、現状を変えたいとか、簡単に解消できない問題に向き合うかわりに、お金さえだせば簡単にできる「物の購入」という行為で一瞬だけ不満を紛らせるのです。
そして手に入れた物は愛せないし、興味すら湧かない。
こういう症状になっている人は、まず買物依存症を直さないと借金問題を解決しても、また同じことになります。
自分でも気づいていない人が多いので、自分の心を客観視することが大切です。
買物依存症から債務整理に至った体験談
ファイナンシャル・カウンセラーの西村優里さんという方がいらっしゃいます。
学生の頃から始まった衝動買いが社会人になっても止まらず、27歳で500万円の借金を抱えてしまい、債務整理した過去をお持ちです。
最初は「暴力をふるう親がいる家に帰りたくない」という理由からバイトばかりしていて、収入を全部買物に費やしてストレス解消していたところから始まったそうです。
月20万円ほどの収入を翌日には使い切ってしまうほどだったとか。
服に始まった買物は、30万円のダイヤモンドや60万円の美顔器、時には100万円のエステとエスカレート。
返済のために別の消費者金融から借り入れてということを繰り返し、自転車操業になっていったといいます。
社会人になってもそういう事を続けていましたが、27歳の時に1社で滞納してしまったことでブラックリストに載り、全社の借入を止められてしまいました。
そこで初めて「これはマズい。何とかしなきゃ。」と気づき、司法書士事務所に行って任意整理してもらったそうです。
3年かかりましたが、見事に完済。
その経験を生かして、今は同じ問題を抱えた人を救済する仕事をしておられます。
振り返ってみると、西村さんが買物依存症になった原因はコンプレックスだそうです。
家が貧しかった、親が離婚した、自分のぽっちゃり体形が嫌い・・・そういうコンプレックスの重なりをお金さえ払えば簡単に手に入るもので解消しようとしていた、と自己分析されています。
西村さんによると、買い物依存症に陥りやすい女性は、孤独感や劣等感を抱えていることが多いです。
買物依存の女性に対するアドバイスとして、西村さんは「人間は身ひとつで立ち直れる」ということをおっしゃっています。
女性は心機一転したい時に大きな消費行動をする傾向にあります。
ほしかったものを買うとか、ワンランク上の家に引っ越すとか。
そういうのは必要ないよ、お金で買ったものを身にまとわなくても、心ひとつで自分を変えられるよ、と言っておられます。
単に安易なストレス解消をしているにすぎないのに、「心機一転のため」と不必要な消費を正当化する傾向があるわれわれには耳の痛い意見です。
さすがに経験者だけあって、とてもいいアドバイスですね。